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現代ファンタジー

キッズ・レンタル2(全4話)

   

 あるとき名響は父のお使いで取り引きのある美術商に絵の値段の交渉に出掛けていた。その帰りのことだった。名響と改が接触したのは。

 すれ違うときにドラマのような接触に、一瞬でその男をスキャンしていた名響の眼光はすばやい計算力で値踏みした。

“わたしこの人と一緒になる。おそらくこの男を捜していたにちがいない”。

 名響はパッと眼に改をいれると瞬時に一目ぼれしてしまった。

 改は微笑み、「だいじょうぶ」と声をかけた。そのことに舞い上がって顔を赤らめ言葉がでなかった。

 すると男の方からナンパしてきた。軽薄な印象に胸がギュッと壁を築こうとしている。しかし、この軽薄な部分がなければつぎにつながらないことを名響は悟った。

 ふたりはこの出会い以外に接点がない。この出会いから結婚までいくことなんて途方もないこと。きっと彼もそういう気持ちで声をかけているのかもしれない。となればこれは運命。

 それに転んだ名響の身を案じてくれた。これでサヨナラにはなりたくない。名響が望んでいるのは儚い恋ではない。淡い恋愛を望んでいる。

 その場を立ち去りたくない。背をむけたくない。どうにかつぎへつなげる方法を──。あれこれ考えているあいだに、改が単刀直入にさそってくれた。ここでナンパしてくれたことを名響は神に祈って感謝していた。

 スマートフォンを取り出し遠赤外線で情報の交換に成功した。思いがけない出会いに心拍数があがりっぱなしの名響から笑顔が消えることはなかった。

 美術館へもどる地下鉄の電車の中で、胸の鼓動の高鳴りをきかれないように両手はしっかりと胸をおさえていた。電車の揺れが初めての恋心に衝突して波紋は増幅していく。緩やかな振動ですら初心の恋愛に芽生えた女性には刺激的だった。

 そこから急速に乗り換え、交際も発展していった。

 

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