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現代ファンタジー

キッズ・レンタル2(全4話)

   

 六畳の書斎に篭もる改はガラス天板の上に置いてあるノートパソコンの電源を立ち上げた。ゆったりとした椅子に腰をかけてながらあることを調べようとしていた。

 パチパチパチと画面のブラウザにキーワードを入力した。解決策が見いだせずに子どもについての議論は中断したままだが、世界につながるインターネットの中にヒントだけでも探そうと躍起になっていた。

 とあるブログに子どもの成長日記なんてものを載せている親バカもいた。自己欺瞞気味で参考にはならないものばかりだった。

「なにか突拍子もないものがいい。子どもをもつことで勇気や自信がつく方法はないか」

 改は何日も夜通しでインターネットのなかを走り回っていた。

 そんなある日とんでもない掲示板にたどり着いた。

「いやいやいや、ありえねぇだろ、ニュースでもやっていない。これって…」

 改は父親になるための知識やすでにインターネットの掲示板やソーシャルネットワークで、育児に苦労している保護者たちのつぶやきや掲示板をみて学習していた。

 なににいちばん苦労するか。準備が必要であるかを閲覧してまわっていた。経験者に頼ることで後続者の負担はわりと軽減されるものだ。ほとんどの保護者が苦労してたいへんな思いをしている話をよく聞くもの、苦労は絶えないと理解はしている。

「子どもを持つために、無計画ではならないってことだ。名響もそれをおそれているのかもしれない。勉強がどうこうというのもあるが、それ以前に本人の気持ちが左右される。それを払拭しないと名響はいつまでも子どもをもとうとはしない」

 結婚について名響の両親が反対していた。いざ結婚したら今度は後継ぎの話をもちかけてきた。

 煽るような責務を課すことで、圧迫された日々に名響のメンタルや体調に変化があらわれて、ついには子どもができにくい体質みたい、とくちばしっていた。名響の両親は愕然とうなだれていたが、まだ希望は捨てないのは是が非でもという切願が込められている。

 改はぶんぶんと振り、その掲示板を見て希望に満ちた笑みがこぼれた。キーボードから手をはなし画面に釘づけになった。一文字一文字を眼球に打ち込むようにみていた。

 頭のなかでどう解釈すればいいか、どのように結論までみちびくか、その筋道となるプロットを組み立てていた。

「父親になるためにちょうどいいかもしれない。名響だって実感できるはずだ。それにこれはおれにとってもいいかもしれない。まさに体験に勝るものはなし。その身で実感することが早道か」

 画面に映し出されているのは衝撃なことだった。

 いまだコンピューターが発展途上であるが、どこまでいくつもりなのかと問いたくなる人類の試みではあるが、その発端はやはりエジソンやアインシュタイン、そしてその原理の構造を解読しようとしたアイザックなどがそう遠くない未来を見据えて、いや想像が現実味をおびるほどの未来が手にとどくと信じていたから個々に表現していきたのかもしれない。

 常軌を逸したサイエンスフィクションムービーでは、そういう技術が盛り込まれて表現できている。

 この21世紀の時代で人類や生物以外の個体が地上を君臨する日は遠くないのかもしれない。

“キッズ・レンタル”。

 これについての記述がしるされている。

1、父親、母親になりたいと願うもの。新しい家族を築くため試用に子どもを貸します。

2、父親(母親)になれるか自信のない父親(母親)、子どもとして試しに一緒に暮らしてみませんか…。よければお貸しします。

3、4、5…と似たような留意点がつづいている。

 見事なキャッチコピーの宣伝文句である。

“結婚相手にふさわしいか、擬似的にどんな家族になるか、子どもを育ててみればわかる。まずはお試しからどうぞ”。

「商売上手な宣伝文句だ。いまのおれのようなものの心を揺さぶりつづけている」

 ロボットの子どもをレンタルできるシステムとのことだ。

「なんとも画期的な…、だがこれって」

 父親、母親になる二人の特徴、行動、言動、趣味趣向などをインプットして二人の将来の子どもを想定したロボットを始動させるというものだ。

 擬似的に暮らすことができるが、その確実性は98%と高確率である。もし子どもがいるせいで家族がうまく絆を結べないものは結婚解消している例もある。と一例としてしるされている。

「こわっ」

 結婚解消なんてありえない。それだけは心が結ばれている改と名響であったため、危惧することなく試してみたいと気持ちは揺れていた。

「決めた。これはおれのために、名響との暮らしに歪みが生じないため、擬似的家族体験ロボットの子どもを試しに育ててみる」

 メリットはある。自分たちの家族が目にみえるわけだ。

 しかし、デメリットのほうが肥大していることにも気づいた。

 

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キッズ・レンタル 第1話第2話第3話第4話

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