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現代ファンタジー

キッズ・レンタル4(全4話)

   

 引き篭もってゲームばかりしている蒼空が、一人で外出をするようになった。

 名響はよころんでいた。外でいったいなにをするのか気になる改だったが、出不精のため読書に耽っていた。

 近所の公園に赴く蒼空は、同年代に見える子どもたちがいる砂場で遊ぶ姿を見て、冷えた目で見据えていた。

 するとその子どもたちの目の前で悪意を散らした。

 家族のあり方や蒼空が抱く心情のような一人歩きする感情が、インプットされたデータからズレはじめていた。

 そんな状態を気づかないまま日々は過ぎていく。

 そして、ついにその日がきた。

 名響と蒼空が買い物に出掛けたとき異変は起きた。名響の詰問のようなひと言に蒼空はロボットらしからぬ態度へと変貌する…
 
 

 そして、クライマックス──

 

「外出てみる」

 蒼空が突然アクティブな発言に改は一瞬ぼう然となった。

「なに、おまえ外出したいのか、ひとりで?」改は驚いた。マシンがゲームばかりしていたが、どういう心境の変化で外出したくなったのかわからない。

 先日の家族で外出したことで、なにか変化があったのだろうか。メインシステムに作用されるなにかがあったのだろうか。

 疑問疑念は抱きつつも蒼空の申し出を改は快諾した。

「行ってくる」

「おい、ひとりでいいのか」

 改の言葉に振り返ることなく部屋を出ていった。

「どうしたのよ、叫んで」名響は改の荒げた声に目を丸くさせていた。

「いや、蒼空が外に出ていった。遊びにいったみたいだ」

「へぇ、ゲームもあきたのかしら、それもいいことよね。あの子、ぜんぜん外に出ようとしないから、いい傾向よ」

「ひとりでだいじょうぶかな」

「なら、ついていってあげたら。わたしはいま洗濯中よ」

 改は視線を上に向けた。本日は快晴、外出日和。近くには公園もあり休日のにぎやかな声が部屋にまでこだまのようにとどいていた。

 近所では蒼空の存在は知れられていない。どこの子どもがうろついているのか不安を煽るかもしれない。それでも改は読書に耽っていた。腰が重くなっていたため外出のタイミングを計れずにいた。今日はとてもじゃないが外出するような気分にならない。

「結局、外にいきたくないだけでしょ」

 名響にはバレていた。

「わかった。あとで様子みてくる…、かも──」

 気のない返事を適当に返した。

「読書しているんだったら、あの子と遊んであげるのもいいと思うけど、ほんとうの父親ならそうするでしょうね」

 痛いところを突かれた。胸のあたりがチクチクと刺さり始めた。この痛いみははじめての感覚だった。

「そうかもしれない、でもそうじゃないことだって…」

「そっ、ご自由に」

 言い訳がましい口ぶりをしていると相手にされなくなった。名響きはせっせと洗濯物をたたみはじめた。正座をしながら姿勢をただしてエプロンの上でタオルや下着、シャツなどをたたみはじめていた。

「あの子、自分から行動したのはじめてかも」

「そうだな、先日の外出が功を奏したようだ」

 ぼそっと名響のつぶやきに改は名誉挽回のように返答をした。

「なにそれ、自分の手柄みたいなこと言って──、それってわたしが料理の材料を用意して下準備までしておいて、調理だけするずるい夫のやりかたよ。片付けもわたしがするの」

「おいおい、そこまで嫌味を言うなよ」

 蒼空の変化に名響は改をからかった。これで子どもらしく活発な姿がみられると思うと頗る頬が緩んだ。

「友だちでもできるといいわね」

「公園でか?」

「そうね」

 

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キッズ・レンタル 第1話第2話第3話第4話

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