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現代ファンタジー

キッズ・レンタル4(全4話)

   

 狭い部屋のなか背後に忍び寄るロボット。改は名響との分身といってもいい自分と戦う。

 とんだサプライズだ。改はつくづく過ちばかりを犯す。

 彼女をソファに寝かせ、そしてはじまる戦闘…、飛び掛ってきたロボット。改はかわす。こぶしで殴っても、硬質なからだが打撃を無力にする。外見の人間らしい肌質は、特殊メイクでよくある性質のものを採用されていた。ひきちぎることは可能、火であぶるのも可能。だがダメージはなにも無い。

 有効な攻撃を思いつくまで、ロボットの直線的な攻撃をかわすだけ。室内にあるクッションが盾代わりに、矛は装飾品が弾丸となった。息切れを起こし、勝てないと脳裏では理解していた。逃げることはできない。彼女を放置することはできない。とても大切な人だから。アイデアを捻出しないとこの窮地を打開できない。

 蒼空は床に這いつくばっていたが、ゆるやかに立ち上がった。ぼう然としていた改は、その姿に脅威を感じ、疲労感から足腰が震え抗戦することもできなかった。肉弾戦はもう不可能だ。分が悪い。体力が減少しすぎている。ロボットに体力など無縁だ。だが配線や部品が欠損でもしてくれればもう役にはたたない。それが勝機。勝率は低いが、チャンスはかならずあると信じるのが人間の向上心なのだ。

 希望は捨てない。それが人間だ。

 改は、戦闘中に蒼空のガラス製品でできたような目を覗く。観察すれば見えてくるものがある。それは気づく、そこをつく。弱点。逆転の一手を…放つ。組み込まれていないプログラム。

 改がクッションを盾に体当たりしてくるロボットを防ぎ、床に叩きつけたあと、ゆらりと起き上がる蒼空に、改がぜったいに言わないであろう言語を言い放つ。ロボットではなく蒼空にたいしての弱みと思っていい言語を食らわす。

「そんなにおれと彼女の子どもになりたいのか!」

 チェックメイト。ロボットは攻撃をとめた。どうやら対話を望むようだ。

「ぼくは、人間の暮らしのなかで生きていきたい…キッズレンタルなんてまっぴらだ、あれこれと制限されていくのはイヤだ。自由な子どもでいたい。ぼくなりのわがままだ…」

「なら、ここにいればいい。いずれ、おれと彼女には子どもができる。友だちになってやってくれ…もちろん、おれたちも…」

 ロボットは、“ともだち”の単語を反芻する。そこでロボットは唐突にシステムダウンし停止した。

「どうしたんだ?」改は唐突な静寂に、呆気にとられていた。

 戦闘終了後…

 システム崩壊は、子どもたちの絶叫に共鳴したのではないと、改は推測した。

 病院に運ばれわかったことがある。名響は妊娠をしていた。彼女の体温や体の変調に違和感を感知していたのだろう。本人よりもはやく、それは高性能システムが組み込まれての感知。

 本物のご子息誕生となればロボットの子どもモドキなんていらなくなる。そうなりたくなかった。

 自覚症状が目覚めたロボット、人間の男女の特徴を組み込まれた人間らしく嫉妬や欲求や、悲壮、悲観、という感情が、このまま生きたいという欲望が、彼を猟奇的なまでに人間であることに固執させたのかもしれない。

 子どもはわがままをとおすことができると信じていた。周囲の子どもたちを見て、学習したのかもしれない。周りに影響されてこそ、人は、いや子どもは勝手に育つ。

 この反乱はただのわがまま…おねだりであった。

 

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キッズ・レンタル 第1話第2話第3話第4話

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