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風刺 / ユーモア

機密の理由(前)

   

あらゆる違法、不法な情報が集まるとされているダークウェブ。その中でも特にお堅くディープな情報が集まるとされている「ポリティカル・グループ」では、ある種類のデータが注目されるようになっていた。
それは政府の機密ファイルや極秘情報で。今回はどうやら本物らしいということで、多くのヤバい筋や情報痛が、そうしたネタに注目を集めていった。
しかもその情報を突き詰めると、その機密の根本は、どうやら一つの無人島にたどり着くようで……。

 

「……何度問われても我々としては同じ回答をするしかありませんな。真偽も不明な情報について、公的組織の我々がコメントすることはできません」
 情報公開の一環として行われるようになった、フリーを含む記者と官僚や政治家といった国家上層部との公開討論会は、いつになく盛り上がっていた。
 多くの場合、記者と政治家たちの見所作りといった部分に比重が置かれるのだが、今回に関しては両サイドとも本気モードである。
「明らかに本物だと言えるものに関しても、でしょうか。既に一部が記事となり、SNS上でも拡散している以上、何らかの答えを示すことは必要では?」
「我々は、拡散者がどこで情報を仕入れたかについては極めて関心を持っております。しかし、お話できることがないという点では、一切変わることはありません」
「しかし、先週から今週にかけて各省庁は、五十一に及ぶ文書について『公開』しましたが、そのいずれもネット上で話題になっているものでした。追認した、ということでは?」
「偶然の一致だよ。もっとも、あまり首を突っ込み過ぎると、君らの周りにも偶然、などということがあるかも知れん」
 ほとんど討論と言うよりは口論という調子で、記者と情報公開省の次官のやり取りが続くが、止めようとする者は誰もいない。皆、理解しているからだ。
 秘密のヴェールというにはあまりにも頑強な秘匿主義に支えられ続けてきたこの国の一端が明らかになるというのは、大の大人が堂々と脅しや毒舌を満載するに十分過ぎるほどの事態ということを。

 

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