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歴史 / 時代

刀行く道1

   

【その男、奇っ怪なり】
 一八六七年、慶応三年。弘前(今の青森)での出来事である。

 

 宮さん宮さんお馬の前に
 ヒラヒラするのは何じやいな
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 あれは朝敵征伐せよとの
 錦の御旗じや知らないか
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 一天萬乗の帝王に
 手向ひすろ奴を
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 覗ひ外さず、
 どんどん撃ち出す薩長土
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 伏見、鳥羽、淀
 橋本、葛葉の戰は
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 薩土長肥の 薩土長肥の
 合ふたる手際ぢやないかいな
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 音に聞えし關東武士
 どつちへ逃げたと問ふたれば
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 城も氣慨も
 捨てて吾妻へ逃げたげな
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 國を迫ふのも人を殺すも
 誰も本意ぢやないけれど
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 薩長土の先手に
 手向ひする故に
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 雨の降るよな
 鐵砲の玉の來る中に
 トコトンヤレ、トンヤレナ
 命惜まず魁するのも
 皆お主の爲め故ぢや
 トコトンヤレ、トンヤレナ

 慶応四年に作成された日本初の軍歌『宮さん宮さん』であり、新政府軍の気勢を歌ったものである。戊辰戦争を意味したこの歌を、道すがらに兵士達が口にしたと言われている。
 まさに、この歌が表す通り。己の信念の為、志の為、魂の為に戦い、國の為、帝の為にと多くの命が散った激動の時代であった。

 

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