幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

伝奇時代

生克五霊獣-改-66

   

玄武の前に、とうとう泰親が姿を現した。

 

 爆発を呆然と見ていた紗々丸が、青龍の声にビクリと肩を震わせながら涙目で抗議した。
「んなこと言われても、どうしろって言うんだよ……」
 尤もだと思ったが、一応保護者として怒らない訳にはいかず。気まずい顔で麒麟を見た。
 旬介に駆け寄った黄龍が確認すると、2人は全身に軽い火傷を負って気を失っていた。
「大丈夫。死んではいない。青龍もあんまり怒るな。悪いのはあの子だ」
 キッと、黄龍が子をにらみつけた。
「お前、少々おいたが過ぎるようじゃな」
 黄龍が隠し持っていた鎖分銅を、子に向かって投げた。
 シャラシャラと伸びた分銅の鎖が子の首に巻き付き、咄嗟に子は首元に腕を入れて締まるのを防ぐのが精一杯だった。
「さあ、来てもらうぞ」
「ふん!」
 子が鼻で笑うと、1匹のイタチが黄龍に向かって飛びかかってきた。
「危ない!」
 と、麒麟がそれを切り捨てた。
 その隙を狙って、子は鎖から抜けると獣のように走り去った。
「待て!」
 詫びでもするかのように紗々丸が追おうとしたが、それを麒麟が肩を掴んで止めた。
「もういい。近いうちにまた会うことになるだろう。奴の目的は分かってる」
「でも」
 と、申し訳なさそうに紗々丸は旬介と藤治を見た。
「大丈夫だ」
 麒麟と朱雀はそれぞれ自分達の倅を背負うと、歩き出した。
「さて、今日のところは帰るとするか」
「う、うん」
 黄龍が笑いながら紗々丸に言う。
「悪いと思うなら、そこの不良親父を連れ帰ってくれ」
「おい! 黄龍!!」
「なんじゃ、青龍。本当のことだろ?」
 青龍は、苦虫をかみ潰したような顔をした。グウの音もでないとはこの事だった。

*****

 

 

-伝奇時代
-, , , ,

シリーズリンク