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現代ドラマ

彼女の言い分に応えて1(全3話)

   

帰国した北空 斗真が空港でタクシーに乗り込もうとしたとき、魔女のような女が相乗りしてきた。

突然のことで斗真は度肝を抜かれた。よく見ると魔女のような女に見覚えが…

そして追跡されていると女が話すと、斗真は映画のような場面に驚愕するも、タクシーを走らせた。
 
 

彼女の言い分に応える斗真は、最高で最悪な日々を過ごすことになる──

 

 上空1万メートルから地球の大地を見下ろす一人の男。ニューヨークからジャンボジェット機に搭乗して日本の帰国を待ち望む。

 渡り鳥は羽田空港に到着し翼を休めた。小さな窓から懐かしい日本の空港の景色を眺めながら一息つくような安堵についた。

「ひさしぶりの日本だ」

 北空きたぞら 斗真とうま、三ヶ月のニューヨーク出張から帰国した。

「これで本社にもどったら一躍ヒーローだ、平社員から昇格できるビックチャンスの事業を成功させたんだ。当然だ」

 満足そうな笑みが浮かぶ斗真だが、日本の空気を目いっぱい鼻から胸へと吸いこんだ。

 帰国前にニューヨークでの事業がうまくいったことを本社に伝えると多いに喜んでいた。上司からも労いの言葉をいただいた。

 帰国しても一日か二日は休暇をとっていい、とまさかのサプライズを告げられ特別扱いされている感に浸っていた。

 これで格調の高いデスクに膝をついて、ふかふかのソファに腰を据えて仕事に向き合える。

「パーフェクト!」

 満面の笑顔で空港のロビーを悠然と胸を張りながら歩く人生の成功者気取りの斗真だった。

 しかし、斗真は気づいていなかった。同じ便に乗っていた一人の女にずっとつけられていたことなど知りもしなかった。

 ファンならまだしも…、というより斗真にファンなどいない。有名人ではないからだ。素人の斗真にどこのだれがニューヨークからわざわざついてくるのか、答えはノーである。

 黒髪で前髪はサラリとしている鋭角な顔立ち。痩身のスラリとした背格好。身長とガタイのいい米国人をひとまわりほど小さくさせたくらいだろう。だが、日本人にしたら相当なイケメンである。

 くどいが、それでも斗真の外見を一見して振り返り他国まで乗り込んで追いかけてくる女性はいない。

 モテるとしたら斗真の生活するうえで会社の中や、友だちの友人あたりに気を引くくらいだろう。

 黒いサングラスの奥から一瞥している視線の先には斗真がいる。壁に身を寄せ華奢なスタイルのその女は明らかに訳ありな態度と行動をしている。

 斗真にどんな狙いがあるのか。それとも──

 このあと思いもよらない身勝手でわがままで非常識な女のせいでとんでもない事態に巻き込まれてしまう。

 斗真にとって悲劇の幕開けはタクシーに乗り込むときから始まる。

 

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彼女の言い分に応えて 第1話第2話第3話

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