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風刺 / ユーモア

機密の理由(後)

   

トーゴとジョージは「口型島」に上陸した。既に世界中の悪者たちが集まり、ちょっとした街ができている感じだったが、二人には自信があった。口型島は「地元」であり、独占的な情報を持っていたからである。
情報を上げてきたダークウェブサイトを即時的にクラックして独り占めするという荒っぽい方法だが、もちろん通報されることもなく、ジョージたちは悠々と「お宝」の前にたどり着く。
だが、その時……。

 

 口型島。
 いわゆる島しょ国とされている某国にあっては、無数にある無人島の一つに過ぎない。水源もろくになく土地もやせているので、歴史的にもほとんど人が居着いたことはないし、不動産としてもまったく価値がないとされている。
 無理やり別荘を作ろうとした不動産屋は五年と持たずに倒産してしまったほどだ。
 しかし、そんな口型島は、かつてない大賑わいとなっている。「港」には多くのクルーザーが停泊し、プレハブ造りのちょっとオシャレな建物が立ち並んでいる。
 その建物の間を縫うようにして露店が連なり、各国の名産品や当地グルメが売り出されている。
「さあ買った、買った。疲れてるなら糖分をきっちり採らなくちゃならねえ。水上貨物機で東南アジアから持ってきたバナナとパインだ。質は最高だよ」
「物を探すんなら、遺跡や埋蔵金で有名な国にあやからなくっちゃいけない。お好み焼きにたこ焼き、今川焼きもあるでよ!」
 物売りたちが熱気をみなぎらせて口上を述べると、意気揚々と帰ってきたいかつい男たちが、ワイワイと言いながら店先に並んでいく。
 支払いに用いられるのは紙幣だけではなく、得体の知れないコインや宝物、タバコや酒のようなもので物々交換を試みている者も少なくない。
 買い手と同じぐらいいかつい商売人たちは、さして驚くこともなく、ワガママな要求をうまく捌いていっている。

 

-風刺 / ユーモア
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機密の理由 第1話第2話

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