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サスペンス

PS.あなたのヴァレンタインより

   

2月14日に起こる絞首刑を真似た殺人事件が10年連続で起こる。ベテラン刑事は本来のバレンタインに意味になぞられた事件であるという見方をするのだが…

このお話は、前半に歴史の逸話と言い伝えにオリジナルを加えた展開
中盤は現代版ミステリ、終盤は現代版サスペンスな展開になっています

作中、いろんな意味で不快・批判的にも感じられる描写があるかもしれませんが、空想であり創作です
それ以外の他意はございません

 

 
 皇帝クラディウスは、目の前の現状に困っていた。
 時は3世紀頃、もう少し詳しくいえば西暦260年代頃と言っておこう。
 このころのローマは多くの兵を募っていたのだが、若い男性はみないずれ死ぬ運命にある兵士になりたがらず、兵力不足だったのです。
 なぜ若い男たちが兵士になりたがらなかったのか、それは愛する者との永遠の別れを拒んだからなのです。
 愛する人ができれば、その人と家庭をもちたいと思うもの。
 しかし出兵してしまえば生きて戻れる保証はありません。
 誰だって好き好んで死ぬとわかっているところにはいきませんよね。
 そこで皇帝は考えます。
 そんなに死ぬのが嫌なら、その根源であるものを禁止してしまえばいい。
 若い男女の結婚を禁止してしまったのでした。

 そのころのローマはキリスト教の迫害行為も率先して行っていました。
 改教さえすれば許されるのですが、頑なにそれを拒む人も少なくなかったのです。
 皇帝にしてみれば、二重に煩わしいことだったのです。

◆◇◆◇◆

「司祭様。皇帝がまた新たな禁止行為を宣言されました」
 ひとりの信者が教会へと駆け込み、そこの司祭であるウァレンティヌスにそう伝えました。
「またキリスト教への迫害ですか?」
「いいえ。禁止されたのは結婚です」
「結婚? なぜ?」
「若い男子が兵士になりたがらないのは、愛する者との家庭を大事にしたいからだと」
「なんと。それは人として当然の権利ではありませんか。若い男女の結婚を禁止されては、ローマの人口は減るばかり。未来を断つのと同じこと」
「まさに、その通りです」
「……わかりました。ここはわたしが結婚を許しましょう。神はきっとお許しくださいます」
 こうして秘密裏に若い男女の結婚を許す行為がはじまります。
 人づてにその話は伝わり、ウァレンティヌス司祭の元を訪ねる若い男女は後を絶ちませんでした。
 しかし、そうなってしまうといつかは皇帝の耳に入ってしまいます。
 ウァレンティヌス司祭の行為は皇帝の知ることとなり、囚われてしまうのです。
 それでも、司祭に結婚を認めてもらおうと足しげく通う者たちがいました。
 すると皇帝はウァレンティヌス司祭に改教を求めはじめました。
 神にすべてを捧げた司祭があっさり改教などするはずもありません。
 ウァレンティヌス司祭の投獄生活がはじまります。

 

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