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現代ファンタジー

マスクエリア 第五覆面特区〜三章 光か影か(12)

   

 彼らが用意していた車は、「本土」でも最高級と呼べる種類のもので、本来であれば、最高の乗り心地を堪能できたはずだが、極限的な状況に置かれたことと、隣で笹田がぐったりしていることが重なって、清水は全く気が気ではなかった。
 車が止まり、たくさんの武装した、恐らくは、本来の当事国かマクベスの手の者に固められたフロアを目にしても、憤りすら湧かなかった。
「笹田さん、清水さん。私は恥ずかしい。お詫びのしようもありません」
 学長室には、憔悴し切った様子のベリコの姿があった。拘束されているわけではないが、部屋の隅に武装兵がぎっしりと陣取っていて、絶対に逃げることができない状況なのは確かだ。
「最善は尽くしたつもりだったのだが、力が及ばなかった」
「いえ、あなたが謝ることではありません」
 黒田と榊原の姿もあった。どこも怪我はしていないようだが、表情は暗い。高倉と香西は、憮然として、無言で立ち尽くしている。
(皆、捕まってしまったのか……)
 清水は、声を出すこともできなかった。話の流れからして、金髪の男とその部下は、マクベス一門に属する人間だということは分かったが、まさか、普段紳士的で綺麗事しか言わないようなマクベスに、ここまで強力かつ強引な行動力があるとは、予想すらしていなかった。
 しかし、突然目の前に現れた連中は、マフィアよりもマフィア的な性質を持っている。

 

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