幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

サスペンス

秘密-すれ違う二つの心-(17)

   

 久しぶりに定時で仕事が終わった俺は、途中、駅前で安売りをしていたシュークリームを手みやげに家に帰った。リビングでは娘の実那美が1人でアニメのDVDを見ていた。

「ママはどうした?」

「あのね、ママ、急にお熱が出たの。だから一人でお利口さんにテレビを見てなさいって」

「そうか。風邪でもひいたのかな」

 カバンをソファーに置き、ネクタイをゆるめながら階段を上る。二階から『ゴホゴホ』という智美の咳が聞こえてくる。どうやら風邪のようである。

 トントン

 
 トントントン

 返事がない

 そっとドアを開けて中の様子を窺う。智美はベッドの上で布団にくるまりながらゴホゴホと咳をしていた。ベッドの真ん中で何かの幼虫のような姿をしている智美を見て、不謹慎ながらもぷっと吹き出す。様子を見ようと近づくと、智美は真っ赤な顔をして苦しそうに唸っていた。

「大丈夫か?」

 声をかけると智美は小さく頷いた。

「あなた……私の方はいいから……あの子の事をお願い」

「ああ。分かった。何か必要なモノはあるか?」

「今は特にないわ……ありがとう」

 あまり話しかけるのも悪いので、すぐに部屋を出た。

 

-サスペンス

シリーズリンク

レビュー

この作品はいかがでしたか?
あなたの感想を送って、作家を応援しよう!

レビューを書く

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

おすすめ作品