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サスペンス

秘密-すれ違う二つの心-最終話

   

「ま、待て……智美だけは……智美にだけはこれ以上手を出さないでくれ。俺が命を落とすことでお前の復讐は遂げられるはずだろう? 智美をもうこれ以上苦しめないでくれ。それに……どうして俺はこんな事をされないといけないんだ。理由を……理由を教えてくれ」

「それはお断りや……。智美さんは全てを知り、そしてお前は何も知らないまま命を落とすんや。どうや? 悔しいか? 悔しいわな。納得のいかんまま命を落とし、お前の代わりに智美さんが全てを知って苦しまなあかんのやから……それじゃあ創……人生最期の時を十分に楽しんでくれや。絶望感に苛まれながらな……」

 俺は創をボートに残し、湖へと飛び込んだ。

 車を走らせ智美と待ち合わせをした場所へと向かう。実家に戻った彼女に会うことは容易だったし、彼女も俺の誘いはいつもキチンと受けてくれた。この日も、市内のシティーホテルに取った一室で、彼女は俺を待っていてくれた。

「遅くなってすみません。待ちましたよね?」

「いえ。待っている間も楽しいですから。真一さんが来てくれるまで、どんなお話をしようかと想像していたら自然と顔がにやけてしまって。おかしいですよね」

 そう言って、智美ははにかんだ笑顔を見せた。

「お話もいいですけど……私はあなたと……」

 智美を抱き寄せそっと唇を重ねる。彼女は俺の背中に手を回しながら、自然とそれを受け入れてくれた。

 俺たちは何度も愛し合った。

 これが最後になると気づいていない智美。このあとにこれまでの人生の中で最もショックな事を聞かされる事になっているというのに……。

 行為が終わった。息も整わぬまま、俺は復讐の最後を遂げるべく、智美に向かって話しかけた。彼女は息を荒くしながら、幸せそうな笑みを浮かべていた。

 

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