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現代ファンタジー

マスクエリア 第五覆面特区 最終章 流星の輝き(21)

   

 香西に言われるまでもなく、清水にも分かっていた。
 高倉には、既に戦う力は残されていない。
 逆転勝ちの可能性も皆無だ。
 だが、何故立っているのか、立っていられるのだろうか。
 清水は、自分の中で、熱いものがこみ上げて来るのを感じていた。
「もう、いい、高倉さん! もう、いいんだっ!」
 涙声になっている自分が情けなかった。
 だが、声を出さずにはいられなかった。
 タオルを、と、手ぬぐいを放り投げようとしたその時、棒立ちになって打たれ続けていた高倉の体が動いた。
 手振りで、タオル投入を制止したのである。
「京一っ!」
 殴られながら、高倉が声を発した。低い呻きだが、十分に伝わる。
「いいか、良く聞け。これは、これは、『プロレスのリング』だ。格闘技じゃねえ。『プロレスのリング』だぞ。……すまんが、後を、頼む……」
 物凄いアッパーカットを受けて、高倉はついに吹き飛んだ。
 全身を血だらけにしながら、リング上に仰向けになった。
「しょ、勝者、アラン……」
「行くぜっ!」
 レフェリーのアナウンスなど待っている余裕は無かった。
 清水は、リングに張られたロープを掴んでいた。

 

≪つづく≫

 

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